家族の加入について

健康保険では、被保険者だけでなく、被保険者に扶養されている家族にも保険給付を行います。この家族のことを「被扶養者」といいます。被扶養者として認定されるためには、「国内居住」のうえ、「家族の範囲」と「収入」について一定の条件を満たしている必要があります。

POINT
  • 被扶養者となるためには、健康保険組合の認定を受けなければなりません。
  • 被扶養者の異動があった場合は、5日以内に届出をしてください。

家族の範囲

被扶養者となれる家族の範囲は、法律で決められています。さらに、同居・別居により、条件が異なります。

被保険者と同居でも別居でもよい人

  • 配偶者(内縁でもよい)
  • 子、孫
  • 兄弟姉妹
  • 父母など直系尊属

被保険者と同居が条件の人

  • 上記以外の三親等内の親族
  • 被保険者の内縁の配偶者の父母および子
  • 内縁の配偶者死亡後の父母および子

収入の基準

被扶養者となるためには、「主として被保険者の収入によって生活していること」が必要で、同居・別居の別ならびに、年間収入により判断されます。
年間収入の判定については、2025年10月1日より19歳以上23歳未満の年齢要件が追加されました。

  年間収入 ※1
( 月額:年間収入÷12   日額:年間収入÷360 )
認定される方 同居している場合 別居している場合 ※2
60歳以上もしくは
障害厚生年金の受給要件に
該当する程度の障害のある方
180万円未満かつ被保険者の
年間収入の2分の1未満
180万円未満かつその額が
被保険者からの仕送り額未満
( 月額:150,000円未満   日額:5,000円未満 )
19歳以上23歳未満の方 ※3
被保険者の配偶者(事実上婚姻関係と
同様の事情にある方を含む)ではない方
150万円未満かつ被保険者の
年間収入の2分の1未満
150万円未満かつその額が
被保険者からの仕送り額未満
( 月額:125,000円未満   日額:4,167円未満 )
上記以外の方 130万円未満かつ被保険者の
年間収入の2分の1未満
130万円未満かつその額が
被保険者からの仕送り額未満
( 月額:108,334円未満   日額:3,612円未満 )
  • ※1 認定される方が今後1年間で得られる見込総収入
  • ※2 定期的な仕送り(書類での確認)が必要
  • ※3 所得税法上の取り扱いと同様、その年の12月31日時点の年齢
    年齢は民法上、誕生日の前日に年齢が加算されるため、誕生日が1月1日の方は12月31日において年齢が加算されることにご留意ください。

被扶養者の収入とは、原則として次に示すような継続的に生じる収入のすべてを含みます。

  • 給与収入(賞与・交通費等を含む総収入)
  • 事業収入(ただし、当組合における必要最低限の経費を除いた額)
  • 公的年金等(厚生年金、国民年金、共済年金、船員保険年金、厚生年金基金等や課税対象ではない遺族年金、障害年金、恩給等)
  • 不動産収入(アパート、駐車場、土地等の賃貸による収入)
  • 雇用保険失業給付金
  • 傷病手当金、出産手当金
  • 株式の配当等、実質的に収入と認められるもの
  • *1年を超えない有期契約の場合であっても年間収入に換算して判断します
  • *雇用保険失業給付金、傷病手当金、出産手当金の場合、日額で判断します。

「年収の壁」に対する政府の施策について(2023年10月より)

参考リンク

「年収の壁」とは

「年収の壁」とは、税金や社会保険料が発生する基準となる年収額のことです。
健康保険等の被扶養者がパートタイマー等で働き、年収が一定以上になると、被扶養者ではいられなくなり、健康保険や国民健康保険等の被保険者となりますが、そうなると社会保険料の負担が発生して、結果として手取り収入が減少する場合があります。
社会保険における「年収の壁」は、企業規模の違い等により、年収106万円と年収130万円の2つがあります。

(出典:「年収の壁」への当面の対応策(厚生労働省))

年収106万円の壁

従業員51人以上の企業、賃金月額88,000円以上(年収:約106万円以上)等、一定の条件を満たす場合は、社会保険料が発生。

参考リンク
年収130万円(※)の壁 被扶養者の認定基準を満たさなくなるため、条件を問わず、社会保険料が発生。
  • ※対象者が19歳以上23歳未満(被保険者の配偶者を除く)の場合は150万円、60歳以上または障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者は180万円

年収130万円の壁に対する対応

人手不足による労働時間延長等に伴い一時的に年収が130万円以上となる場合は、事業主の証明を添付することにより、収入見込額が130万円以上であっても、引き続き被扶養者の認定を受けることができるようになります。

年収106万円の壁に対する対応

社会保険適用促進手当(※)の支給等、労働者の収入を増加させる支援を行った企業に対して一定期間助成が行われます。

※社会保険適用促進手当

短時間労働者への被用者保険の適用を促進するため、非適用の労働者が新たに適用となった場合、当該労働者の保険料負担を軽減するために支給することができる手当です。
社会保険適用促進手当は、給与・賞与とは別に支給するものとし、保険料算定の基礎となる標準報酬月額・標準賞与額の算定対象に考慮しないこととされます。

  • ※対象者:標準報酬月額が10.4万円以下の方。
  • ※報酬から除外する手当の上限額:被用者保険適用に伴い新たに発生した本人負担分の保険料相当額。
  • ※最大2年間の措置。

被扶養者認定における国内居住要件の追加について

2020年4月より、健康保険の被扶養者認定の要件に、国内居住要件が追加されました。日本国内に住所を有していない場合、2020年4月1日以降は、原則として被扶養者の認定はされません。(海外留学等、一定の例外あり)

国内居住要件の考え方について

住民基本台帳に住民登録されているかどうか(住民票があるかどうか)で判断し、住民票が日本国内にある方は原則、国内居住要件を満たすものとされます。

  • ※住民票が日本国内にあっても、海外で就労している等、明らかに日本での居住実態がないことが判明した場合は、国内居住要件を満たさないと判断されます。

国内居住要件の例外

外国に一時的に留学している学生等、海外居住であっても日本国内に生活の基礎があると認められる場合は、例外として国内居住要件を満たすこととされます。

【国内居住要件の例外となる場合】

  • ① 外国において留学をする学生
  • ② 外国に赴任する被保険者に同行する者
  • ③ 観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者
  • ④ 被保険者が外国に赴任している間に当該被保険者との身分関係が生じた者
  • ⑤ ①から④までに掲げるもののほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者

国内居住者であっても、被扶養者と認められない場合

医療滞在ビザで来日した方、観光・保養を目的としたロングステイビザで来日した方については、国内居住であっても被扶養者として認定されません。

経過措置について

国内居住要件の追加により被扶養者資格を喪失する方が、施行日(2020年4月1日)時点で国内の医療機関に入院している場合、経過措置として、入院期間中は資格が継続されます。

夫婦共同扶養(夫婦共働き)の場合の被扶養者認定について

夫婦共同扶養の場合、どちらの被扶養者となるかについての認定基準は以下の通りとなります。

  • すでに被保険者の被扶養者として認定されている方の人数にかかわらず、夫婦双方の年間収入(過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだものとする。以下同じ。)を比較して多い方の被扶養者として認定されます(ただし、夫婦双方の年間収入を比較した差額が多い方の1割以内の場合は、届出により主として生計を維持する方の被扶養者として認定されます)。
  • 一方が国民健康保険の被保険者の場合は、その方の直近の年間所得から見込んだ年間収入と、健康保険組合等の被保険者の年間収入を比較して年間収入が多い方が、健康保険組合等の被保険者の場合は被扶養者として認定され、国民健康保険の被保険者の場合は国民健康保険の加入者となります。
  • 審査の結果、被扶養者として認定することが困難と判定した場合は、当該結果に係る通知書を発出します。通知書を受け取った被保険者は、もう一方の被保険者の健康保険組合等へ届出とともに提出します。
  • 年間収入の逆転に伴う被扶養者の異動(被扶養者の付け替え)をする場合は、年間収入が多くなった被保険者の健康保険組合等が、被扶養者として認定することを確認してから、年間収入が少なくなった被保険者の健康保険組合等の被扶養者より削除します。
  • 主として生計を維持する方が取得した育児休業等の期間において、年間収入の逆転が生じた場合であっても、すでに認定されている被扶養者の地位安定の観点から特例的に被扶養者を異動しないこととします(ただし、年間収入が多くなった被保険者の健康保険組合等が、被扶養者の異動を容認した場合はこの限りではありません)。なお、新たに誕生した子につきましては、改めて夫婦双方の年間収入を比較して多い方の被扶養者として認定されます。

被扶養者の異動(変更)があったら

結婚や出産等により被扶養者が増えたときや、就職や別居、死亡等で、それまで被扶養者に認定されていた家族が被扶養者の認定基準を満たさなくなった場合は手続きが必要です。なお、当健康保険組合では毎年、被扶養者の資格を確認するための検認を行っています。